2012年03月26日

忘れじの名菓 2



   「 秋の野の萩の錦をわが宿に鹿の音ながらうつしてしかな 」

 この和歌にちなんだ 『 鹿の音 』 という和菓子があります。
加賀・大聖寺 ( = 現 “ 石川県加賀市大聖寺荒町 ” ) の、知る人ぞ知る菓子司 『 福文 』 の
棹ものです。
淡雪餡に大納言小豆の風味を生かした、簡素で誠に自然な美味しさ。
銘に “ 鹿の音 ( = 鹿の鳴き声 ) ” を冠した季節感は、自ずと “ 秋 ” なのですが … 。
今、どうしても記しておきたいワケがあります。

 それは ―― 加賀の地元で先代来の茶菓匠を継いだ当主ご夫妻が、お二人きりで営み、主に茶席菓子
を提供して来られた ―― この “ 隠れ名店 ” が、何と四月をもって閉店されるから ! ( 泣 )

 遠い関東住まいで、茶道の世界とも縁遠い美緒ママには、フツー出会い難い “ 高嶺の花 ” ながら
…… 希有にも、時折賞味に与れた 『 福文 』 さん。
まして地元の茶道界や富裕層のお得意客方は、さぞかしお嘆きに違いありません。

 勿論、言うまでもなく他にも趣深い銘菓が数々、地元やら古来茶道の由緒正しき加賀のその方面で
愛顧されて来たであろう当店。
ご当主の菓匠・福貞夫さんの高齢と後継ぎ不在によって、致し方の無い決断とは思いますが …… 。


 記念に、以前撮影の 『 鹿の音 』 ↓↓↓

★ 『 福文 』 製棹菓子 『 鹿の音 』 / 川瀬竹秋作 『 青磁銘々皿 』

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★ 煎茶 / 川瀬満之作 『 染付蝶紋茶碗 』

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 “ 新茶 ” の季節のしつらいで撮りましたが、銘々皿と煎茶碗が偶然、当代磁器作家の名門、
川瀬家の『 満之・竹秋 』 父子競演となりました。
さりながら父君・満之氏は、やはりご高齢のため、既に作陶を辞めておられます。

 斯くて、美しき佳きものが次々現代の文化から失われて行く …… まこと寂しいハナシばかりの、
この頃ではあります ( ため息 ) 。




posted by 美緒ママ at 01:44| Comment(0) | グルメ | 更新情報をチェックする
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