2013年10月11日

栴檀の杜國


 “ 颱風過の爽やかさ ” に与れなくなって、何年になるでしょうか。
殊に今秋は異常に暑い。
暑過ぎるッ !! ( … って、夏から言い飽きてるがな )

 昔、颱風過の青空には微妙な ―― もはや滅びの季節へ向かうんだなァ、みたいな ―― 切なさを
感じた気がします。
そんな記憶の中に在ったのが、 『 栴檀 ( センダン ) 』 。
この木を、近ごろとんと見かけません。
嘗ては実家の門脇で、いつも見上げていたモンです。
「 栴檀は双葉より芳し 」 とか云われる割にゃ実質ジミ〜な木で、カミキリムシがよくたかって、
颱風後には乏しい実をパラパラ落としていた …… くらいな印象 ( 苦笑 ) 。

 ところがどっこい、俳聖 『 芭蕉 』 の愛弟子 『 坪井杜國 ( つぼい ・ とこく ) 』 の手に
かかると、

 「 霜の朝せんだんの実のこぼれけり 」

 なァんて、芸術作品へグレードアップされちゃうから不思議 !


 はぃ、美緒ママ、ン十年俳句をカジっていて、けっこー沢山の情報を得ております。
ご存知、芭蕉大先生に関しても、ね ♪
まず “ トリビア その1 ” ―― この先生を 『 松尾芭蕉 』 と呼ぶのはちょっと待って。
『 芭蕉庵桃青 』 或いは 『 芭蕉 』 のみ、が正しいから。

 実はこの先生を、特別好きでも嫌いでもないわたくしメですが、周辺の多彩なことどもの面白さに
目からウロコ〜 ☆
お弟子たちのコアな情報もまたツボッ !

 この杜國さんも芭蕉先生のお弟子中で、なかなかに際立っています。
先生が全国行脚の内、尾張名古屋で 『 蕉風 ( 芭蕉スタイル ) 』 を確立した記念すべき座に、
連なった若き精鋭の一人でした。
 当時知識人やインテリ武士 ・ セレブな豪商たちが支えていた尾張俳壇でも、杜國さんはかなり
格式の高い大だなの若主人だったのです。

 豪壮な商家が軒を連ねた名古屋御園町に、広大な店屋敷を構える米問屋 『 壷屋 』 ―― それが、
杜國 ( = 坪井庄兵衛 ) が父 『 隠斎 』 より託された身代。
受け継いだ若 “ 主人 ” はまだ三十前です。
それでも、斯かる大だなを負う器量と教養を備え、諸芸に通じ、心根も優しい人格者と伝わります。
加えて少年時代より俳諧の才気目覚ましく、京の宗匠にさえ驚かれた、とゆー逸話が残るそうな !
 そんな “ 二ぶつも三ぶつも ? 与えられていた ” 杜國さん、更に極めつけが、何と ! 女と見紛う
美貌ってんですから ( … マジかよッ !? ) …… ヤバい ☆☆☆
へぇ〜〜 ッ ?そんなドラマみたいな筋書きあるんかいな ? ( ムフフ )

 っと、そこで驚くのは早いよッ。 …… “ トリビア その2 ” !!
この輝くばかりの若旦那に一目惚れした、他ならぬ芭蕉先生〜 ☆
勿論句の見どころが上々、と認めたのでしょうし。
まァ、何たって時代は江戸期元禄。
ひとかどの人物が優れた目下男子を寵愛するは、寧ろ美徳。
まして “ 師弟の情は恋に似る ” ってゆーし ♪♪ ( はぁと )

 嗚呼、世にも “ 煩悩な ” お方だったんですね ? 杜國さん !
あんまり煩悩過ぎて、ここじゃ語りたくても語りきれませんって〜 ( 大汗 ) 。


 ところが、そんな杜國さんに予期せぬ過酷な運命が待ち受けていました !!!
突然商売がらみの大罪に問われ、尾張から追放の憂き目を見ます ( 泣 ) 。
当然莫大な身代は全て召し上げ、彼は身ひとつで隣国・三河の伊良胡崎へ隠棲しました ( そこは
一説に 『 壷屋 』 の手代の郷里という ) 。

 むろん芭蕉先生も、 “ 想いびと ” の悲運に驚き心を痛め …… 。
が、おいそれと近付けぬ “ 罪人 ” の定め ( 涙 ) 。
ほとぼり冷ました二年後、漸く訪なうのでした。

 その折の再会、旧交を暖める師弟 …… 。
更にこの時交わした約束を果たし、翌春 “ 吉野〜高野の花見行脚 ” ―― 後に 『 笈の小文 』 と
題される紀行文に至るまで。
煩悩全開な空気感漂うお二方 …… ( 萌え〜☆ ) 。

 それでもこの師弟の精神性は、高い教養に基づく暗黙の了解、言外の共感、打てば響く即興の
応酬、その瞬発力を以て、高度な詩歌文芸 “ 連句 = 俳諧 ” を研鑽していました。
その巻頭の第一句 = “ 発句 ” と呼ばれる “ 五七五 ” を、芭蕉先生が独立させたのが、現今の
『 俳句 』 となります。
お陰で一般ぴーぷる ( って古りィ〜な、この表現 ! ) も、世界一簡潔な詩歌を嗜めるように
なったワケです。

 なぜなら、も〜 判じ物としか言いようのない難解さなんだよね、連句って !
アタシ如き、俳句をチラッとやった程度ではルールが難し過ぎて …… てんで歯が立ちません ( 汗 ) 。
ほとんど 「 なぞかけかッ ? 」 って ( 爆 ) 。

 はぁ〜アタマ良かったんですね 、昔の俳人さんって!!




posted by 美緒ママ at 22:32| Comment(0) | 俳句 | 更新情報をチェックする